広島の公立高入試改革
学びの変化に関心持って
長いと感じられた6年間も、終わってみればあっという間の小学校生活。6年生は卒業式が終われば、来月からもう中学生です。これまで勉強やさまざまな経験で成長してきたと思いますが、今後は定期試験や部活動で自分の実力が試される機会が増えます。新しい未知の世界が待っていることを前向きに捉え、楽しみにしてほしいと思います。
さて、卒業間近の6年生の世代から大きな変化があることをご存じでしょうか。3年後、彼らが向き合う広島県の公立高校の入試制度が大きく変わるのです。約20年続いてきた現行制度。大学入試改革の影響を受け、また小学校の新学習指導要領から続く「主体的な学び」を促す県の教育目標実現のため、昨年、制度変更の発表と同時に具体的な内容が示されました。抜本的改革と言っても過言ではないでしょう。
まず、現在は2月上旬にある推薦入試(選抜Ⅰ)と、3月上旬の一般入試(選抜Ⅱ)が統合され「一次選抜」となります。これまで学業成績や活動評価が優れた生徒はこの推薦入試をうまく活用できたのですが、この改革により推薦入試制度は廃止されます。
次に選抜試験の内容です。これまでは、入試当日の学力検査と中学校の調査書(内申書)の比重がおおむね5対5だったものが、新制度では、面接のような形で自身をアピールする「自己表現」が加わり、試験成績(5教科)▽調査書▽自己表現―の配点を「6対2対2」を基本として合否を判定します。
調査書の比重が下がるわけですから、3年間の学業成績よりも入試当日の力量を試される方向にかじを切ったことになります。さらに、その比重が下がる調査書も、これまで中1から中3までの比重が1対1対1だったものが1対1対3となります。総合的に見ると、次の入試制度での合否は中3段階の学力が相対的に大きく影響することになりそうです。
いかがでしょうか。現在の6年生以下の子どもたちは、この新制度で中学校生活を、そして高校入試を迎えます。保護者の皆さんにとって、まだまだ幼い小学生だと思われていても、時間はあっという間に過ぎます。15歳に向けて積み上げていくような学力(実力)を備えることが要求される今後、保護者の方にはぜひ、この「学びの変化」に関心を持っていただければと思います。
2020.3.9朝刊掲載
(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)
学びのつぼ|中国新聞デジタル https://www.chugoku-np.co.jp/search/result.php?key_txt=%23%8Aw%82%D1%82%CC%82%C2%82%DA